トランプの伝統を受け継ぐ「トリックテイキング」。その最大の魅力は、配られた手札の強さだけで勝負が決まらない、システムが生み出す極上のジレンマにあります。
今回は亞猫文化堂の店主として、「勝ちすぎたら即脱落」「最弱カードが一撃必殺の銃弾になる」など、勝利を緻密にコントロールする楽しさに痺れる名作を6つ厳選しました。カードを捲るたびに冷や汗と脳汁が止まらない、狂気的な進化を遂げたトリテの世界へようこそ!
トリック&スナイパーズ
手札が弱くても「足して13」になれば場を暗殺できる特殊勝利が熱いトリテ。金の7を巡るハイエナ達の心理戦と、一発逆転の弾丸が飛び交う15分の大傑作です。


| 人数 | 3~5人 |
|---|---|
| 所要時間(目安) | 15分 |
| 対象年齢 | 6歳以上 |
| ゲーム内容 | 卓上を戦場に変える「2つの暗殺ルール」 基本は、親が出したカードと同じ色を出さなければいけない「マストフォロー」の、非常にオーソドックスなトリックテイキングゲームです。通常は、同じ色の中で一番大きな数字を出した人がその回の勝者(トリック獲得)となります。 しかし、このゲームを極上の心理戦へと変貌させるのが、通常の強さを無視して勝利を奪い取る2つの「特殊勝利(スナイパー)」ルールです。 スナイパー(「13」の暗殺):同じ色が出せない(ディスカード)時、場に出ている最大数字と自分のカードを足して「ちょうど13」になれば、その時点でスナイパー成功!強引に勝利を奪い取れます。 ラッキー7(金の7を狙撃):場に特別な「7」のカードが出た時、そのトリックを(通常またはスナイパーで)獲得できれば特殊勝利となります。 通常の勝ち(裏向きで獲得)をいくら重ねてもゲームには勝てません。この特殊勝利(表向きで獲得)を誰よりも早く2回達成したプレイヤーが、この戦場の覇者となります。 弱者の逆襲と「7」を巡るハイエナ達の宴 本作の最大の魅力は、「手札が弱いほど、最強のスナイパーになれる」という下克上システムにあります。 手札に小さい数字や、極端に偏った色しかない時は大チャンス。わざと特定の色を早めに使い切って「手札にその色がない状態」を作れば、相手がドヤ顔で出してきた「10」や「11」といった最強クラスのカードを、自分の「3」や「2」で綺麗に撃ち抜くことができます。最強の盾を紙切れのように貫く瞬間の脳汁は、他のトリテでは味わえません。 さらに、金の箔押し「7」が出た瞬間に、場の空気が一変するのも最高にシビれます。「7が出た!全員で奪い取れ!」と、それまで静かだったスナイパーたちが一斉にハイエナと化す、卓上の狂気的な盛り上がりは必見です。 暴発するか、潜伏するか。引き金を引くタイミングのジレンマ わずか15分で遊べる非常にスピーディーで楽しいゲームですが、悩ましいのは「スナイパーは完全なごっつぁんゴールではない」という点です。 自分が「絶対にスナイプしてやる」と手札の「4」を握りしめて待っていても、前のプレイヤーが「9」を出してくれなければ引き金は引けません。「相手が何を出すか」を完璧に読み切るか、あるいは誘導しなければ、弾を抱えたままゲームが終わる不名誉を被ることに。 また、自分が確実に勝てると思って「7」を放り込んだのに、思わぬところからスナイプされて点数を献上してしまうリスクもあり、カードを1枚出すたびに冷や汗が止まりません。 15分に凝縮された「狙い、狙われる」緊張感 『トリック&スナイパーズ』は、トリテのロジカルな面白さと、パーティーゲームの爆発的な盛り上がりを融合させた大傑作です。 手札が悪くて泣いていた初心者も、緻密に計算していた熟練者も、等しく「13」の銃弾の前にひれ伏す快感。ボードゲーム会のオープニングや、ちょっとした合間にサクッと遊ぶ定番として、これ以上ない一足です。 皆様がトリガーに指をかける瞬間を、心よりお待ちしております! |
仲良シふれんず
可愛い動物たちの皮を被った失点擦り付けゲーム。フォローできないカードが勝者のマイナス点になる鬼畜仕様と、3の倍数による加速感が最高の泥仕合を生みます。


| 人数 | 3~4人 |
|---|---|
| 所要時間(目安) | 30分 |
| 対象年齢 | 12歳以上 |
| ゲーム内容 | 勝者がすべてを背負う、理不尽な「失点擦り付け」システム 基本は、親が出したカードと同じ色を出さなければいけない「マストフォロー」かつ「切り札なし」のオーソドックスなトリックテイキングゲームです。全員が1枚ずつカードを出したら、「親と同じ色」の中で一番数字が大きいカードを出した人がその回の「勝者」となります。 しかし、ここからがこのゲームの真骨頂(そして鬼畜なところ)です。 もし誰かが「親と違う色(手札になくてフォローできなかったカード)」を出していた場合、その違う色のカードはすべて「マイナス1点の失点カード」へと変貌します。 そして、その失点カードをすべて引き取らなければならないのは、なんとそのトリックの「勝者(一番強いカードを出した人)」なのです!違う色を出した人は、自分のマイナスカードを、強いカードを出した人に合法的に押し付けることができます。 「3の倍数」がもたらす、友情破壊のハイスピード展開 このゲームの目的は、手札を誰よりも早くなくすことです。そのための強力なエンジンとなるのが、数字の「3、6、9、12」に設定された「仲良しカード」の効果です。 これらのカードを場に出したプレイヤーは、手札からさらにもう1枚、好きなカードを裏向きで捨てることができます。この捨てたカードは失点にはなりません。 手札を2枚一気に減らせる大チャンスですが、裏を返せば「他人の手札がゴリゴリ減っていく」ということ。誰かが仲良しカードを連発し始めると、場に凄まじい焦燥感が走り、一気にゲームのテンポが加速します。 「勝ちたくないのに勝たされる」という、降りられない泥仕合のジレンマ 本作の最も悩ましく、そして笑えるポイントは、「手札を減らすためにカードを出さなければいけないのに、強すぎると失点を押し付けられる」というジレンマです。 手札に大きな数字がある時は要注意。マストフォローのルールのせいで、出さざるを得ない状況に追い込まれた結果、周りから一斉に違う色のカードを投げ込まれ、大量のマイナス点を「ごっつぁん」させられる悲劇が多発します。「勝って嬉しい」はずのトリックテイキングで、「お願いだから誰も違う色を出さないでくれ!」と祈るような逆転の緊張感が、毎ターンプレイヤーを襲います。 4分で覚えられる、最高に不条理で愛おしい友情崩壊ゲーム 『仲良シふれんず』は、ルール説明がわずか4分ほどで終わるほどお手軽ながら、プレイヤー間の濃密な足の引っ張り合いが楽しめる傑作です。 誰か1人の手札がなくなった瞬間にゲームは即座に終了。 手札を綺麗になくしてプラス3点ボーナスを貰うか、あるいは強力なカードで他人の足を引っ張り続けてマイナスを回避するか。ゲームが終わる頃には、パッケージの動物たちのように、プレイヤー同士も笑顔でハンマーを握り合っていることでしょう。 サクッと遊べて誰もが悲鳴をあげる一足として一押しのピリ辛ゲームです! |
DATTO!
ウサギのレースとトリテが融合。勝ったカードの数字分だけコマが進む爽快感。勝ちすぎを調整する「おひるね」や勝利予想など、緻密な歩数コントロールが命です。


| 人数 | 2~4人 |
|---|---|
| 所要時間(目安) | 20分 |
| 対象年齢 | 8歳以上 |
| ゲーム内容 | 走るか、当てるか。カードの数字がそのまま歩数になるレース このゲームの目的は、トリック(ミニ勝負)に勝つことで自分のウサギコマを進め、誰よりも早く25マス先のゴールに到達することです。 基本ルールは、親と同じ色を出さなければいけないオーソドックスな「マストフォロー」です。親と同じ色の中で、一番大きい数字(最大は9)を出した人がそのトリックの勝者となります。 ここからの処理が非常にユニークです。 コマの前進:トリックの勝者は、「自分が勝ったカードの数字」と同じマス数だけ、ボード上のウサギコマを前進させます(例:「9」で勝ったら一気に9マス前進!)。 勝利予想(DATTO宣言):各ラウンドの開始時、手札を見て「自分がこのラウンドで何回勝てるか」を事前に予想します。ラウンド終了時にこの予想がピッタリ一致すると、ボーナスとしてさらにコマを進めることができます。 1ラウンドに1回だけの特権「おひるね」がもたらす大逆転 ウサギのレースに欠かせないのが、全員が1枚ずつ持っている「おひるねカード」の存在です。これは手札からカードを出す代わりに、1ラウンドに1回だけ使用できます。 おひるねカードを出すと、そのトリックの勝負を強制的にパス(辞退)することができます。 一見するとサボっているようですが、「数字が大きすぎて、これ以上勝つと勝利予想数がズレてしまう!」という時の絶妙な調整弁になります。さらに、おひるねをするとお助けアイテムである「ニンジン」がもらえるなどのボーナスもあり、あえて立ち止まることで未来の爆発力を生み出すウサギらしいプレイが楽しめます。 「大きく勝ちたい、でも予想は当てたい」という足枷のジレンマ 本作の最高に悩ましいポイントは、「ただ強いカードで勝ちまくればいいわけではない」というジレンマにあります。 「9」や「7」といった大きな数字で勝てば、ウサギは一気にゴールへ向かってダッシュできます。しかし、勝ちすぎて事前に宣言した「勝利予想数」を超えてしまうと、ラウンド終了時の大きなボーナスを逃してしまいます。逆に、確実に予想を当てるために「0回勝利」などを狙って小さくまとまると、今度は一歩も前に進めません。 豪快にダッシュするか、緻密に歩数をコントロールするか、手札の数字を見つめながら脳をフル回転させることになります。 トリテの緻密さと、レースの爽快感がダット(脱兎)の如く駆け抜ける 『DATTO!』は、中央に置かれたトラックボードのおかげで「誰がどれくらいリードしているか」がひと目でわかり、トリックテイキング初心者でも直感的に楽しめる素晴らしい作品です。 手札が良ければ大爆走の快感を味わえますし、手札が悪くても「おひるね」と「予想的中ボーナス」を駆使して、後ろからカメのように着実に追い上げるドラマが生まれます。 ボードの上をぴょんぴょんとウサギが飛び交う賑やかなレースを、ぜひ亞猫文化堂のテーブルで体験してみてください! |
ヒーフー!
ぴったり2勝だけが生き残れる極限の引き算トリテ。3勝目は即ドボンという恐怖の中、2勝目を後半に挙げるほど高得点になる、脳が焦げるチキンレースです。


| 人数 | 4~5人 |
|---|---|
| 所要時間(目安) | 20分 |
| 対象年齢 | 10歳以上 |
| ゲーム内容 | 「ぴったり2勝」だけが許される、極限のコントロール 基本は、親が出した色と同じ色を出さなければいけない「マストフォロー」かつ「切り札なし」の、究極にシンプルなトリックテイキングゲームです。親と同じ色の中で、最も大きい数字を出した人がその回の勝者(トリック獲得)となります。 しかし、このゲームで得点できるのは、全9回の勝負のうち「ぴったり2回だけ勝ったプレイヤー」のみです。 1回しか勝てなければ当然0点。そして、もし恐ろしくも「3回目」の勝利を挙げてしまったら、その瞬間に「ドボン(即脱落)」となり、手札を残したままゲームから追放されてしまいます。 後半に勝つほど跳ね上がる、ハイリスク・ハイリターンの得点システム 本作を最高にスリリングにしているのが、「2回目の勝利を、全体の何回目に達成したか」がそのまま得点になるというシステムです。 例えば、最初の第2トリックで早々に2勝目を挙げてしまうと、安全ですが、たったの「2点」しか貰えません。しかも残り7回を「絶対に勝たないように」耐え忍ぶ地獄が待っています。 逆に、耐えに耐えて第8トリック目でギリギリ2勝目を挙げることができれば、一気に「8点」という高得点を獲得できます。後半に行けば行くほど、見返りは大きいものの、一歩間違えれば3勝目のドボンが待っているという、脳が焦げるようなチキンレースが展開されます。 最初の「4枚廃棄」から始まる、未来の自分の首を絞めるジレンマ ゲームの勝負は、カードが配られた瞬間の「手札調整」からすでに始まっています。 最初に13枚のカードが配られますが、プレイヤーはそこから「いらないカード」を数枚捨て、手札を「9枚」にしてからゲームを始めなければなりません。 「勝つための強いカード」を残すか、「負けるための弱いカード」を残すか。 ここで「よし、この色なら確実に負けられるな」と思って残した中途半端な数字が、後半、マストフォローの罠によって「周りがそれより小さい数字しか持っていなかったせいで、強制的に勝たされる(ごっつぁんドボン)」という最悪の未来を引き起こします。カードを捨てるその一瞬の手から、ジレンマの泥沼に足を踏み入れているのです。 一切の無駄を削ぎ落とした、トリテ界の「チキンレース」の傑作 『ヒーフー!!』は、派手な効果を持つ特殊カードなどは1枚もありません。 だからこそ、ルールは一瞬で理解でき、プレイヤー間の純粋な心理戦とカウンティング(カードの記憶)の面白さが剥き出しになります。 「ひぃ、ふぅ……」と自分の勝ち星を数えながら、他人の3勝目を全力で演出し、自分はギリギリのタイミングで滑り込む。この「勝っても地獄、負けても地獄」の絶妙なバランスを、ぜひ卓上で悲鳴を上げながら楽しんでいただきたいです! |
トランプトリックスゲームス!
前半戦で勝ち取ったカードがそのまま次の手札になる異色作。厳しい狩猟制限の中で未来の最強デッキを仕込み、最終戦で一気に爆発させる因果応報の楽しさです。


| 人数 | 3~4人 |
|---|---|
| 所要時間(目安) | 30分 |
| 対象年齢 | 8歳以上 |
| ゲーム内容 | 獲物を撃ち落とし、未来の手札へと「収穫」する異色のシステム 基本は、親が出したマークと同じマークを出さなければいけない「マストフォロー」ルールのトリックテイキングです。親と同じマークの中で一番大きい数字を出した人が、その場のカードをすべて獲得(トリック獲得)します。 しかし、本作の最大の特徴は、カードの配り直しがない点にあります。 第1〜第3シーズンの前半戦で自分が勝ち取ったカードは、そのまま次のシーズンのあなたの「手札」になります。 [1] つまり、前半戦は単に点数を競うのではなく、「最終戦(第4シーズン)を戦い抜くための、最強のマイデッキを構築する狩り」の時間なのです。 前半戦を支配する「弾切れ(狩猟制限)」の恐怖 「じゃあ強いカードを片っ端から勝ち取ればいいのでは?」と思いきや、そうは問屋が卸さないのが本作の心憎いところ。前半の第1〜第3シーズンには、厳しい「狩猟制限」が課せられています。 4人プレイなら、1ラウンド中に勝てるのは「3回まで」と決まっています。 この制限に達すると「弾切れ」状態となり、そのラウンド中は以降、どんなに強いカード(最高位の13や最強のクマなど)を出しても強さは「0」として扱われ、強制的に負けさせられてしまいます。 欲しいカードだけをピンポイントで狙い撃つ、まさにスナイパーのような精密なプレイングが求められます。 「今勝つべきか、未来のために負けるべきか」という世代交代のジレンマ 本作の最も悩ましいポイントは、「手札の強さが次のラウンドに100%直結する」という因果応報のジレンマです。 手札に強いカードばかりを残してしまうと、前半戦で意図せず勝たされてしまい、あっという間に「弾切れ」を起こして本当に欲しいカードが回収できなくなります。逆に、弱いカードばかりを場に流していると、次のラウンドの手札がスッカスカのゴミ山になってしまい、最終戦で手も足も出なくなります。 「この13は今使うべきか、それとも最終戦の得点源として温存するか……」と、数ラウンド先まで見据えてタイムマネジメントを行う脳の疲労感と興奮は、他のゲームでは味わえません。 トリテの皮を被った、至高の「手札カルマ(因果)」ゲーム 『トランプ、トリックス、ゲーム!』は、第4シーズン(最終戦)の「狩猟解禁」を迎えた瞬間の爆発的な盛り上がりが最高の作品です。 全員が3ラウンドかけて血眼で仕込んだ「僕が考えた最強の手札」をこれでもかとぶつけ合う総力戦は、まさに圧巻の一言。 自分が過去に放出したカードが、巡り巡って他人の最強の武器として目の前に現れるカタルシス。トリテという古典ジャンルが持つ無限の可能性を、ぜひ卓上で体験し、あなただけの最高の獲物を持ち帰ってください! |
ボトルインプ
悪魔のボトルを最後に持つと大失点になる不朽の名作。ボトルの下敷きだったカードが前の持ち主に得点として戻る旧版特有の処理が、より緻密な取引を生みます。


| 人数 | 2~4人 |
|---|---|
| 所要時間(目安) | 30分 |
| 対象年齢 | 10歳以上 |
| ゲーム内容 | 「前の持ち主」に得点が戻る、旧版ならではの緻密なボトル移動 基本は、親が出した色と同じ色を出さなければいけない「マストフォロー」ルールのトリックテイキングゲームです。 本作のすべてを支配するのは、場に置かれた「悪魔のボトル」です。 ボトルより小さい数字の中で「最もボトル価格に近い数字」を出した人がトリックを獲得し、その数字が新たなボトル価格(下限値)となります。 ここで旧版特有の非常に面白い処理が発生します。 新しく誰かがボトルを引き取った時、それまで価格の目印として敷かれていた古いカードは、なんと「前のボトルの持ち主」の元へ戻り、彼の得点になるのです。この仕組みにより、「あえて一度ボトルを引き取り、次の人に安値で押し付けて差額(得点)を回収する」という、悪魔の取引のような高度なマネジメントが可能になります。 隣人に呪いを送り込む、開幕の「カード交換」から始まる心理戦 ゲームは、カードが配られた直後の「仕込みフェイズ」からすでにバチバチの心理戦が始まっています。 プレイヤーは自分の手札から最も不要な(=ゲーム終盤にボトルを強制的に引き取らされそうな極端に小さい)カードを1枚選び、中央の「悪魔のトリック(山札)」へ裏向きに封印します。さらに、手札から2枚を選んで左右のプレイヤーへ1枚ずつ送りつけなければなりません。 「この小さい数字、お前にやるよ」「ゲッ、隣から1が回ってきた!」という、ラウンドが始まる前からお互いの手札に呪いを仕込み合う陰湿なワクワク感がたまりません。 「最後に持っていたらすべてが灰になる」という絶望のジレンマ 本作の恐ろしさは、どれだけトリックを勝ち取ってウハウハの得点を稼いでいても、「ラウンド終了時にボトルを持っていたら一瞬で破滅する(地獄の業火)」という点にあります。 最後にボトルを持っていたプレイヤーは、そのラウンドで稼いだ得点がすべて没収(0点)になるだけでなく、最初に全員が中央に埋めたカードや手札のマイナス点をすべて押し付けられます。 「得点を取るためにボトルより小さい数字を出したい、でもこれ以上価格が下がったら誰も引き取ってくれなくなる!」というジレンマ。手札が残り少なくなるにつれ、ボトルの価格が「5」……「3」……と下がっていく時の、卓を包む悲鳴と冷や汗は本作だけの特権です。 文豪の描いた「恐怖」を完璧にシステム化した、不朽の名作 『ボトルインプ』は、「価格が下がり続けるボトルを、最後に持っていたら地獄に落ちる」という原作小説の設定が、トリテのシステムとしてこれ以上ないほど美しく融合した芸術的な一足です。 旧版の「300点先取」というじっくり戦うルールは、プレイヤーの腕前とカウンティングが色濃く反映され、遊ぶたびに濃厚なドラマが生まれます。 欲に目が眩んで悪魔と契約するのか、それとも綺麗に売り抜けて高みの見物を決め込むのか。薄暗いランプの灯りの下で、あなたも悪魔のびんを覗き込んでみませんか? |
今回ご紹介した6作に共通するのは、「勝つこと」と「負けること」の境界線で踊るような、極限のコントロールが生み出すスリルです。
時にはわざと負けて未来への手札を仕込み、時には安値で悪魔のボトルを押し付け合う。そんな一手一手のジレンマを仲間と共有し、悲鳴と笑顔が卓上に交錯する瞬間こそ、ボードゲームという本物の体験の宝物です。
次はぜひ亞猫文化堂のテーブルで、あなた自身の手でこの極上の心理戦を体感してみませんか?